回り回って何者でもない自分へ。
僕は自信がなかった。
小さい頃から。
いつも何かに怯えていた。
だから、好きなことより、できることを優先させてきた。
大人になって、それにより磨きがかかり、とうとう自分がわからなくなった。
期待、実績、肩書き、ブランド、、、積み上げて積み上げて身に纏った鎧が重くなって動けなくなった。
自分は何かになりたかった。
何者かになれると信じていた。
だけど
何者かになろうと努力すればするほど、「本当の自分」から遠ざかっていった。
僕は「なりたかった自分」にはなれた。自信もついた気がした。
叶えられる夢は全て叶えた。でも過ぎ去ってしまえばそれは自分の本当に望んだ夢だったのかもわかりはしない。
叶えてしまえば実績だけ残って、それは古い自分になる。僕はもうそこにいないのに。
別に悲観的になっているわけではない。少し燃え尽きたのかもしれない。あるいは、充足感のなかで、全てに感謝という気持ちさえ持っている。
だけど「本当の自分」はいまだにわからないままだ。
何度目だろう?
またここに戻ってきた。
ゼロ。原点。スタートライン。
僕はただの会社員。
いや、僕は、ただの人間だ。
俺は俺だ。
回り回って何者でもない自分へ。